2018.12.03
11月23日(金・祝)に作品鑑賞会を実施しました。
企画展「以“身”伝心 からだからはじめてみる」では、触れる作品、音声コンテンツや点字や触図(しょくず)を多数用意して、みんなが鑑賞を楽しめるように工夫を凝らしています。
今回アイサでは、この展覧会を会場に「みる・きく・さわる鑑賞会」として、目が見えない人、見えにくい人、見える人で一緒に鑑賞を行いました。
参加された19名は、特別支援学校や盲学校、ろう学校の先生、作業療法士、福祉施設や文化会館の職員、そして一般の方など幅広く、視覚障害のある方は4名いらっしゃいました。全体を5,6名の4グループに分けて、各グループにお一人ずつ目の不自由な方に入っていただきました。
講師の広瀬浩二郎さんから、無視覚流鑑賞について講義していただいた後、近くの公園で無視覚流体操「点・線・面」をして身体と心をほぐしてから、鑑賞会に向かいました。
今回の企画展では、通常でも最初に書いたとおり、様々な鑑賞の方法を用意してあるのですが、この鑑賞会ではさらにちょっとした仕掛けを用意して皆さんに鑑賞していただきました。視覚を使わずに触覚と想像力をつかって鑑賞してみることで、目で見て鑑賞していた時との違いを感じてもらおうと考えました。
鑑賞の順番はグループによって変えたり(音声ドラマ→実際の作品、実際の作品→音声ドラマなど)、具体物と抽象物での鑑賞の比較、触図に始めて触れる人が多いだろうことから、そこから絵をどれくらい読み取れるかを絵や文章で書き留めてもらうことなどすることで、作品の鑑賞を深めてもらいました。
約2時間の鑑賞のあと、参加者と車座になって振り返りをしました。
皆さんからは「視覚をとざすことで庭の砂利や風、匂いなど普段気づかないことにも意識がいった。触って鑑賞したあとに作品を見てみて、自分のイメージしたものとの違いに驚いた」「触図をはじめて触った。イメージして描いたものを実際の作品が全然違って驚いたけど、再現することは楽しかった」「自分の創作にも参考にしたいと思う点があった」などとお話しいただきました。
視覚障害のある方からは「普段はできないような経験でした。大津から来たかいがあった!」「グループの皆さんが気遣ってくれて優しい気持ちが嬉しかった」「以前は美術館で働いていた。目が見えづらくなり、もうアートには縁がないと諦めていたけど、今日をきっかけに私のアート人生が再会した気がします。仲間にも伝えて広めたい」などの感想をいただき、今後もこのような鑑賞会を続けていきたいとアイサにとって大きな励みになりました。