2021.07.09
2021舞台芸術活動に関する訪問調査レポート アール・ブリュットインフォメーション&サポートセンター(アイサ)では、音楽や演劇、ダンス等の舞台芸術分野で活動する団体の活動の場を訪問し、活動に関する情報やニーズを把握する調査を実施しています。ここでは、訪問調査を行った団体の活動の様子をご紹介します。
「本番2分前!」
14時2分前、かけ声とともに、スタンバイする演者やスタッフの間にぴりりとした空気が広がります。
「本番、スタート!」
効果音に続いて照明が徐々に明るく会場を照らし、本日の稽古がスタートしました。
ここは、瀬田の街中にある「まちかどプロジェクト」の一室、「まちプロ一座」の練習室。今年度の新作の通し稽古が初めて行われるその日、アイサは「まちプロ一座」さんを訪問させていただきました。到着時刻に合わせ、既に準備万端整えてお待ちいただいていたご様子で、定刻通りに通し稽古が始まりました。
今回の新作の主役はみどりさん。脳梗塞で倒れ、そのことで生まれた家族間の葛藤や周囲の支えといった実体験がモチーフとなった作品。一つひとつの台詞には、みどりさんご自身の思いが強く込められ、言葉に宿った力が見ている者にひしひしと伝わってきます。時折、次の台詞をスタッフから促されながらも、この日初めての通し稽古を無事終えてほっとした表情のみどりさん。
「台詞を忘れてしまうことも多く、家でも繰り返し練習しました」とのこと。それでもうまくいかず、「主役を降りた方がいいのではないか?」と悩んで仲間に相談したこともとか。その時に、座長である小石さんらから「まだ時間はある。できるところまでがんばろう!」と声をかけられ、再びこの役に向き合うことができたとのこと。劇団のメンバーは、こうやって共に支え合いながら月日を重ねてこられたのだと感じました。
大津市の市民劇団「グループ橋」と協働で毎年11月に行ってきた「共生のまち大津・演劇プロジェクト」も、昨年度は入場できる定員を半数にし、舞台転換時には客席等を消毒するなどの対策をとりながらの実施となりました。出張公演の依頼数は激減し、文化芸術を巡る状況が一変しました。観客を前にした生公演の一つひとつの機会は、「まちプロ一座」をはじめ、表現者にとっては「決して不要不急ではない」ということを感じたこの間。今年の11月の本番に向けた稽古に、約3か月の今から熱が入るのも納得です。
夢は、大きな舞台に立つこと。
自分たちの劇場を持つこと!
そして、もちろん、誰もが街の中で当たり前に暮らす世の中の実現です。
皆さんに笑顔で見送っていただきながら、温かい気持ちで「まちプロ一座」を後にしました。
活動場所:まちかどプロジェクト(大津市大萱5-6-8)
活動日:毎週水曜・木曜日
問合せ先:077-543-2844(担当:種田)
まちかどプロジェクトHP:https://kyosei-symphony.org/publics/index/72/
まちプロ一座Youtubeチャンネル:https://www.youtube.com/playlist?list=PLJeoVq6JokjWlZPlDOd0txgJqFLcOulyB