【レポート】「アイサ大学」開講しました! 舞台芸術コース 第1回 障害のある人の舞台芸術の魅力を知る

アイサが企画した芸術活動支援のための研修プログラム「アイサ大学」が8月26日(水)から始まりました。当初は定員10名の募集でしたが、たくさんの応募をいただき定員を増やしての開講(※)となりました。会場はひこね市文化プラザのメッセホールです。会議室ではなく、実際に舞台芸術の公演が開催可能な施設で第1回の講座を行いました。

全4回の研修のスタートということで、まずは受講生のみなさんに参加したきっかけをお話いただきました。
・文化施設に勤務し、企画を担当している。障害のある人に参加してもらう機会をつくりたい。
・障害のある人の表現活動にかかわるようになったので、自分ができることを増やしたい。
・子どもに障害があり合唱などをしている。大人になっても楽しく活動できる場をつくりたい。
・かかわっている障害のある人たちの表現活動をより活発にしたい。
・以前は障害のある人と仕事をしていた。自分自身が芸術に触れたいという思いもあり、きっかけになればと参加した。
など、様々な理由で関心を持ってくださっています。

P2000791_r

次に、事務局より「障害のある人の舞台芸術をめぐる現状」について報告しました。アイサでは2020〜2021年度にかけて滋賀県内で活動する約20団体に訪問調査を実施。活動内容や規模、主催者、活動場所などについていくつかの団体を例にあげ、県内では様々な位置づけで活動がなされていることを紹介しました。

滋賀県内で活動されている「スキップハート」のみなさんには、会場でダンスを披露いただく予定でした。しかし、感染症拡大のため参加を断念せざるを得ず、子どもたちのダンスを実際に見て、一緒に体験していただくことはできませんでした。しかし、最新のプロモーション映像を送っていただき、受講生のみなさんは楽しそうな活動の様子に見入っていました。

最後に、調査から見えてきた課題として、「活動が活発になれば、ノウハウと共に困りごとも生じるため、その共有ができる仕組みが必要」ということや、「保護者が活動を始めた場合、芸術文化ではない(=価値があるものではない)と考えている場合が少なくなからずあり、活動の価値や意義を活動主体が感じられる取組が重要である」といった点を共有しました。

P2000798_r

休憩をはさみ、後半は清水美紀(打楽器奏者)さんと小暮宣雄(京都橘大学名誉教授)さんによるパネルディスカッションを行いました。

清水さんは、糸賀一雄記念賞音楽祭に出演する大津ワークショップと湖東ワークショップのナビゲーターを長年務めておられます。一方、小暮さんはアーツマネジメント、文化政策などの研究者であり、糸賀一雄記念賞音楽祭や、ボーダレス・アートミュージアムNO-MAの立ち上げに関わってこられました。

最初に清水さんから大津ワークショップや湖東ワークショップの活動についての紹介がありました。普段の練習の流れや、本番に向けて作品を仕上げていくまでのやりとり、面白さや苦労について映像も交えながら詳しく語ってくれました。活動を続けていく中でメンバーが変化してきたというお話しから、清水さん(わたし)自身も考え方が変わっていったとおっしゃっていました。

P2000804_r

受講者からの「活動の行き詰まりについてアドバイスを」という声に、小暮さんからは「マンネリの中の日常を楽しむことも重要。(自身の活動の場では)外部の人とのかかわりなどで空気を入れ替える」と提案がありました。

終了後、短い時間でしたが受講生同士で自発的に意見交換をされる姿がありました。舞台芸術に興味があり参加したという受講生は「心から楽しそうに舞台に立つようすを映像で見ながら、これまで意識せずに出会っていた障害のある人たちの笑顔を思い出しました」と話してくれました。
次回は障害のある人と一緒に舞台を楽しむための「鑑賞サポート」について学びます。

スキップハート ホームページ https://sites.google.com/view/skipheart/
糸賀一雄記念賞音楽祭と障害のある人の表現活動発信ウェブサイト http://stage.art-brut.jp/

---
※ 人と人の距離を十分確保できる等、感染症対策が可能な会場での開催です。