【レポート】アイサ大学 舞台芸術コース 第2回 舞台芸術の鑑賞サポートについて(前編)

8月26日にスタートした「アイサ大学 芸術支援のためのプログラム」舞台芸術コースの第2回講座を開催しました。今回は、障害のある人と一緒に舞台芸術を楽しむための支援「鑑賞サポート」がテーマです。盛りだくさんの内容となった開催の様子を前編・後編の2つに分けてお伝えします。

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まずはじめに、Palabra株式会社の山上庄子さんから、舞台公演の鑑賞サポートについてお話いただきました。同社は映画や演劇などの字幕・音声ガイド等の制作をはじめ、様々な鑑賞サポートを行っています。講義では、鑑賞時だけでなく、鑑賞前後に必要となる様々なサポートについて紹介がありました。例えば、会場への行き方について。ウェブサイト上に地図の画像だけでは、視覚に障害のある人が情報を得ることができませんが、文章でも行き方を掲載することで、テキスト読み上げ機能が使えるようになります。

山上さんは大きく3つの点が重要だといいます。1つ目は「障害の状態にはグラデーションがあることを意識する」こと。2点目は、「ちょっとしたサポートで対応できることがたくさんある」こと。筆談など、専門的な機器や知識が無くても始められるサポートがあります。3点目は「サポートの有無を明確にし発信する」こと。対応したことに安心して、伝えることの重要性は忘れられることが少なくないそうです。

最後に、山上さんは「100%を目指すのではなく、できることからはじめてほしい」と、みなさんの背中を押してくれました。

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次に、実践編として「音声ガイド制作ワークショップ」を行いました。講師はバリアフリーナレーターの持丸あいさんです。持丸さんは声の仕事をされる中で、視覚障害のある人に向けた鑑賞サポートにも携わっています。演劇公演で事前に舞台装置の解説をしたり、上演中に俳優の動作を解説したり、映像の音声ガイドを作成したり。ワークショップでは、写真や演劇公演の映像を見て、それを言葉に置き換える体験をしました。

受講生が実際に文章にしたものを読み上げ、全盲のお二人、長尾博さんと徳居千鶴子さんに感想をお聞きしました。最初はお二人ともに全然伝わりませんでしたが、やりとりを繰り返す中で、表現が変わると伝わること、伝わらないことも変わることを実感できました。持丸さんのお手本を聴くと、「なるほど」と多くの方が頷いておられました。

受講生からは「見えていないこと、聞けていないことがいかに多いのか発見した」「見えるものを言葉で表すことの難しさを感じた」といった声がありました。音声ガイドの奥深さを実感し、気づきの多いワークショップとなりました。

 

後編に続く。