障害のある方の芸術活動の訪問調査レポート⑭【就労継続支援B型事業所イロハニトイロ】

アール・ブリュットインフォメーション&サポートセンター(アイサ)では、障害のある人の芸術活動を地域で展開・継続している団体の活動の場を訪問し、活動の実態やニーズを把握する調査を実施しています。ここでは、訪問調査を行った団体の活動の様子をご紹介します。

 

繊細な螺鈿(らでん)制作。スキルアップの秘訣は職員と利用者との水平な関係性【イロハニトイロ】

 

 大津市坂本の住宅街に佇むおしゃれな建物。ここは就労継続支援事業所のイロハニトイロです。中に入ると職員と利用者が朗らかに迎え入れてくれました。
 イロハニトイロではお仕事として無農薬野菜の栽培、螺鈿を使った商品制作、オーガニックハーブティーの封入作業等をしています。今回の訪問調査では主に螺鈿の作業についてお話を伺いました。
 
 螺鈿とは、キラキラした貝の殻を様々な形に切って、漆器などの表面にはめ込んで装飾する伝統工芸です。訪問した際には、作業台で集中して貝殻を切ったり貼ったりする作業が行われていました。
 イロハニトイロの螺鈿づくりは、まず好きな形に切った貝殻を木製の土台に貼ります。デザインは一人一人が考えて貼っていきます。その後カシューという油性漆塗料を塗ります。カシューが乾いたら貝を貼った部分の塗料を削ります。最後にニスを塗って完成です。
 一つの商品ができ上るまでには2、3か月の時間がかけられ、丹精込めて制作されます。決まったデザインがあるわけではなく、自分自身のアイディアを自由に生かすことが出来るのも魅力の一つ。とても繊細な作業で、作り始めた当初は失敗も多かったそうですが、経験を重ねるにつれ、技術が身についてきたといいます。制作上の悩みは、月1回の螺鈿ミーティングで話し合われます。失敗しても怒られることはなく、皆で助け合いながら、徐々に技術やセンスが磨かれていきます。
 完成した商品は月1回の三井寺マルシェで販売されるほか、インターネットでも購入できるそうです。

 螺鈿づくりがはじめられたきっかけは、イロハニトイロの立ち上げ前までさかのぼります。管理責任者である金村栄治さんは当時訪問看護を行っていて、その訪問先で螺鈿づくりをされている方に出会いました。螺鈿の技術を障害のある方たちが覚え、商品を作って販売し、その売り上げでより豊かな生活を送ってほしいというその方の願いと、障害者や健常者といった区別なく、価値のあるものを作る仕事がしたいという金村さんの思いが重なり、金村さんがその方から技術を教わり、イロハニトイロでの螺鈿づくりが始まることとなりました。

Dsc_0547螺鈿のアクセサリーの部品

Img_3788螺鈿の作業場の様子

 別のスペースではハーブティーの封入作業が行われています。外には畑があり、様々な野菜やハーブが植わっています。それぞれの場所で利用者がお仕事をしたり、ちょっと座って休んだり、思い思いに過ごされていました。
 ここでは職員も利用者も垣根がありません。どのような事業所であればいいのか、職員も利用者も一緒になって考えるそうです。職員と利用者との水平な関係性がこの場の雰囲気を生みだしていて、それが皆の居心地の良さに繋がっているのだと感じました。
 金村さんは、皆が過ごしやすい場所でありたいと同時に、工賃も上げたい、そのバランスが難しいと仰っていました。なじめずにやめていった人もいるけれど、今では一般就労をしている人もいるそう。この場所が多くの人にとって良い選択肢の一つであることを願います。

 最後に今後の展開について伺ったところ、作業スペースを拡大したり、カフェスペースを作ってみたいと仰っていました。これからの活動もとても楽しみです。

  

就労継続支援B型事業所イロハニトイロ
滋賀県大津市坂本一丁目18-45
開所時間:月曜日~金曜日9:30~15:30
問い合わせ先:077-577-1188
Mail:info@irohanitoiro.com
ホームページ:https://irohanitoiro.com/