障害のある方の芸術活動の訪問調査レポート⑲【社会福祉法人虹の会わになろう】

アール・ブリュットインフォメーション&サポートセンター(アイサ)では、障害のある人の芸術活動を地域で展開・継続している団体の活動の場を訪問し、活動の実態やニーズを把握する調査を実施しています。ここでは、訪問調査を行った団体の活動の様子をご紹介します。

 

一人一人が自由に感性を生かして絵を描いていく【社会福祉法人虹の会わになろう】

 

 今回訪問調査を行ったのは高島市内にある社会福祉法人虹の会わになろう。障害者地域活動支援センターの事業として、アート活動が行われているのは毎月第1、第3日曜日で、活動時間は10時から午後3時までです。活動には、障害のある方の創作活動を支援するボランティア団体アートサポートたかしまのアーティストが派遣されています。

 活動の様子を見せてもらうと、総勢20人くらいの方が机に向かい、集中して手を動かしています。この日の活動は、それぞれが好きな絵を自由に描く、自由画でした。

 写真や図鑑を見ながら、マジックペンで絵を描く人、クレヨンで小さな絵を描く人、色鉛筆で描く人、カラフルな丸シールをたくさん貼る人等々、画材は様々使われています。また描かれるものも、西洋絵画の模写であったり、好きな動物、植物、ロボット、果物、数字など、一人一人が自由に感性の羽を伸ばして絵を描いていきます。

 わになろうの活動では、自由画を描く時間が多いですが、陶芸や手芸の時間を作ることもあるそうです。手芸で作った腕時計や、かわいらしい猫が描かれたクッションなども作られていました。

 絵を描きながら、職員さんと「これで完成でいいかな」「背景を塗ってみたら良いかな」などの相談をしながら描いている様子も見られ、和やかな雰囲気が流れていました。

 アートサポートたかしまの活動が始まったのは約20年前のことです。社会福祉法人虹の会わになろうは、アートサポートたかしまとつながったことで、アーティストの派遣を受け、芸術活動が本格的に始まることとなりました。

 また、月2回の日々の活動に加えて、年に1回作品を発表する展覧会も開催し、活動によって生まれた作品の魅力を多くの人に開いています。参加者の中には湖北アールブリュット展に出展したり、ぴかっtoアート展に応募し、入賞したりする方もいるそうです。多くの才能が生まれているのです。

 活動を支援している社会福祉法人虹の会の田中大貴さんは、「みんなが楽しく描いていくことが最も大切かな」と仰っていました。参加者の中には、ご家族が高齢化して土日にどこかに出かけることが難しくなってしまった方もいます。そういった方にとって、日曜日のアート活動が、余暇の充実に繋がればという思いで続けられています。

 机に向かって集中して絵を描いている姿や、楽しそうに絵について話す姿、描いた作品のことを熱心に説明する姿などが印象的な訪問調査となりました。ここには絵をただ描く以上に、人が自分の人生を楽しんで過ごす、一つの形があらわれていると感じることができました。

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