【レポート】障害のある方の芸術活動の訪問調査レポート㉑【スキップハート】

アール・ブリュットインフォメーション&サポートセンター(アイサ)では、障害のある人の芸術活動を地域で展開・継続している団体の活動の場を訪問し、活動の実態やニーズを把握する調査を実施しています。ここでは、訪問調査を行った団体の活動の様子をご紹介します。

11年続けてきたから今がある。6人の成長ストーリー【スキップハート】

 スキップハートは近江八幡市を中心に活動するダンスグループです。2012年5月、年少・年中の年にグループを結成。11周年を迎えた現在、メンバーは中学3年生と高校1年生に成長しましたが、変わることなく6人で活動されています。

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 結成のきっかけは子どもたちが2~3歳のころのこと。
「24時間テレビを見ていたら、ダウン症の子どもたちがダンスチームを組んで踊っていたんです。こんなにもイキイキと踊れるんだということを知りました」と振り返るお母さま。「いつか私たちの子どもにもダンスを踊らせたい」が、仲良し6人のお母さん共通の思いになったそうです。
 
 夢を実現するためにまず取り組んだのは、ダンスの先生を探すことでした。何のつてもなかったので最初は苦労したそうですが、あるご縁から岡司学先生に繋がり、思いを伝えたところ快諾。ヒップホップダンスをご指導いただける事になったそうです。ダウン症の子どもにダンスを教えることは、岡司先生にとっても初めての経験だったといいます。「手探りですが」といいつつ、子どもたちに寄り添い、楽しくダンスできる空間を作り上げてこられました。

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 「最初のころは、親が踊りに来ている感じだったんです」と、あるお母さま。ダウン症の子どもの特徴を岡司先生に伝えつつ、言葉で伝えられない部分はお互いに感じながら、地道にみんなで踊り続けてきたとおっしゃいます。3年ほどしたころ、やめようかと悩んだお母さまもいたそうですが、ゆっくり、ゆっくり活動するうちに、急に子どもたちがダンスにはまりだして、いつのまにか「ダンス命!」みたいになって踊るようになったと振り返ってくれました。

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 現在の活動(練習)は月に2回。ずっと変わらず同じメンバーで踊り続けています。赤ちゃんのときから一緒だった6人組。成長するにつれて、年々絆が強くなっていると感じるそうです。お母さまたちも、一緒に、絆を大切に守ってきたといいます。子どもたちも、「スキップハートはこの6人!」と感じているようです。1人でも欠けてしまうと、どの子も調子が狂うようで、見学に伺った日も練習の途中で思うようにいかず泣き出してしまう子がいたのですが、5人が集まって来て、その子を励ます様子が見られました。笑顔を取り戻したところで、すかさず岡司先生が、みんなが大好きな曲をかけていました。

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 曲は、当初は岡司先生が、「こんな感じでどう?」と提案していたそうですが、現在はお母さんたちと子どもたちとで、スキップハートらしい曲をチョイスしているそうです。見学に行った日は、Mrs. Green AppleのダンスホールやBTSのDynamiteなどを元気いっぱいに踊っていました。過去に踊った曲がかかっても、みんなすかさずポジションについて、しっかり踊っていました。現在では30曲ぐらいレパートリーがあるそうです。

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 月に1回ぐらいあった発表の機会が、コロナで減ってしまったということですが、今は少しずつ復活してきているそうです。養護学校でも踊ります。発表することが子どもたちの喜びになっているようで、見られることが大好きということ。お客さんが多いとテンションが上がるそうです。お客さんが少ないと、会場を見て「えっ!?」ってなります(笑)。緊張はまったくなくて、声がかかると、喜んでこたえるそうです。11年間、続けてきたから、今がある。6人の成長ストーリーは、まだまだ続いていきます。

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