
2025.12.13
「第22回滋賀県施設・学校合同企画展ing…~障害のある人の進行形~」(通称:ing展)の実行委員会も、大詰めの展示構成を検討する段階となりました。10月に実施した第4回実行委員会で、今年度は会期を分けず通期(1期)で開催することが決まりました。2026年1月24日(土)に開幕して、3月15日(日)まで、15施設の作品が一堂に会します。今回のレポートでは、展示構成などを検討した第4回、第5回の実行委員会の様子をお届けします。
第4回実行委員会
2025年10月14日(火) 10:00~11:30 (午前開催)
2025年10月23日(木) 18:30~20:00 (午後開催)
第5回実行委員会
2025年11月4日(火) 10:00~11:30 (午前開催)
2025年11月13日(木) 18:30~20:00 (午後開催)
場所:ボーダレス・アートミュージアムNO-MA
第4回実行委員会
① チラシやポスターのデザインについての検討
本展の広報物デザインを務める南和宏さんより、ポスターやチラシのデザイン案が共有されました。
≪コンセプト/南和宏≫
作品鑑賞(第3回実行委員会)に出席して、「障害のある人の進行形」という展覧会タイトルの通り、作品にはいろんなバックグラウンドがあり、多様な方向に進みながら表現されていると感じました。そんなing展のコンセプトを刺繍で表現しました。撮影用に本物の生地に糸で刺繍しています。「ing」という文字からつながる線が、いろいろな方向に進んでいく。それらが1本の糸でつながっているというデザインです。ポスターなどでは、そこに主役となる作品を配置しています。すべての作品が素敵で掲載したかったのですが、通りかかった人の目に留まるような印象的な作品を数点選んで掲載しています」
≪委員の感想≫
・とっても素敵だなと思います。
・デザインされている線にも意味が込められているのがいいなと思いました。
・刺繍のデザインがすごくかわいいですね!やわらかい感じでとてもいいです。
・軽やかでよいデザインだと思います。実際に刺繍されたものを撮影しているのもいいと思います。(野原健司さん/アドバイザー)
② 図録の構成について
基本情報として掲載しているのが、「作家紹介文」「作家画像(可能なら)」「作品画像」の3点です。昨年は、掲載作品数を増やして、1施設ごとの見開きにしました。さらに、各実行委員に話を聞いて「実行委員会に参加した感想」や、「展示で工夫したところ」などを掲載しました。
≪委員による意見交換≫
・ 図録は想定する読者によってデザインや内容も変わってくると思います。作品を大きく掲載して、ライトな内容のほうが手に取りやすい人もいるのかなと思います。
・見開きにせず、片面ずつ1作家にすると、まったく違う作品がパッと目に入ってくるので、おもしろいと感じました。
・作者が遊びながら作ったとか、どんな様子で作られたかわかると興味がわくと思います。どんなところで作っているかわかる写真も掲載できればいいと思います。
・どのように生活しているとか、作家さんの日々の様子がわかると、支援員としては参考になります。
・展示するすべての作品を掲載できないか。納品時期の問題はあると思うが、展示全体の様子が伝えられる図録もいいなと思う。
・立体の作品は、様々な角度から伝えたい。
・実行委員同士でわちゃわちゃ話す機会が少なくなっているので、座談会など話す機会が生まれたらいいと思う。
・映画のメイキングがすごく好きで、制作の裏側とかわかる内容だったらすごく楽しいと思います。
・ing展は、審査とかではなく、実行委員が「これがいい」という思いで展示できるところがいいところなので、そういう思いが伝わる内容になるといいなと思います。
③ 展示協議
≪事務局より≫
今回の展覧会は、いわゆるグループ展になるので、自分の施設の展示方法だけを考えるのではなく、「この展示台があったら後ろの作品が見えにくくなってしまうかな」とか、「全体の雰囲気から浮いてしまわないかな」など、各施設と相談しながら調和を考えた展示を検討してください。
≪検討された展示構成の一部≫
・窓から入る光をうまく使いながら、アクリルなどで挟まず、作品を生のままで吊りたいと思っています。両面が見える展示を考えています。
・作品をトルソー(胴体部分だけのマネキン)にかぶせて展示して、立体的に見せたいです。
・展示の際、音声を使いたいので、皆さんの作品に干渉しない場所(部屋の隅とか)を希望します。(ヘッドフォンを使う展示も考えられる)
・立体作品が10点あるので、600×1800の台を使うと作品がちょうどよい感じに並べられると思います。
・黒い画用紙に描かれた作品を展示するのが初めてで、マットの色や額をどうしたらいいか相談したいです。
・作品が裏表に描かれているので、透明なアクリル板に挟んで展示にしたいと思います。
・和な感じの作品もあるし、ポップな感じの作品もあるし、どう見せるのがいいのか、悩むところです。
メジャーでサイズを測ったり、高さを確認したりします
蔵のスペースを活用した展示も検討しました≪展示構成を検討しながら/野原健司さん≫
理想の展示を皆さんそれぞれ考えてくれていたと思います。今回、平面の作品が多い中で、いかに統一感ある展示にするか。額装したり、アクリル板を使ったりすることで落ち着いて見てもらえる空間にできたらとアドバイスしました。例えば2階に上がってすぐの畳のスペースは、全体の雰囲気を考えるうえでもとても大事だと思います。トルソーや陶器をたくさん並べるのもいいかもしれません。奥の壁も広くて、平面作品を展示するのにすごく適している。前の展示が後ろの作品を隠さないように考えたいですね。いろんな展示の可能性があるので、悩ましいのですが、なるべく妥協せず、皆さんが思い描く理想の展示を実現できたらと思います。他の展示との協調も大切なポイントです。展覧会を見た人が、素敵な空間だと驚いたり、感動してもらえたらいいですね。皆さんで遠慮なくディスカッションして、よいバランスを探っていきましょう。
第5回実行委員会
第4回実行委員会に引き続き、展示構成を検討しました。それぞれ、展示のイメージも具体的になってきました。どんな額を使うか、どんな大きさ、高さの展示台を用意するか、来場者の視点を意識した検討が続きました。また、他の施設の展示案も確認しながら、お互いのバランスを相談しました。12月には展示什器や額を発注するので、NO-MAで構成を考える最後の機会です。
≪次回にむけて≫
12月に実施する第6回実行委員会はオンライン開催となります。NO-MAで検討した展示案を最終決定して、展示の準備を進めていきます。ポスターやちらしも完成するので、たくさんの人に来てもらうための広報活動もはじまります。